ハワイには、主な島同士を結ぶ定期旅客フェリーがほとんど存在しません。理由は単純なようで、実は極めて複雑です。海峡は深く、風は強く、波は高い。オアフ島とカウアイ島の間は116km、マウイ島とハワイ島の間も荒れやすく、古くから船を悩ませてきました。しかも、人の移動はすでに飛行機が主役です。かつて島を結んだ汽船は、やがて自ら作った航空会社に客を奪われ、消えていきました。1980年代のジェットフォイル、2000年代のハワイ・スーパーフェリーも挑戦しましたが、環境問題や採算難、激しい海況に阻まれました。例外はラナイ島とのアウアウ海峡だけ。そこでは今も定期フェリーが走ります。しかし、ハワイ全体を自由に船で行き来する時代は、まだ戻っていないのです。