四国と九州は、晴れた日なら互いの島影が見えるほど近い。それでも、両者を結ぶ橋は一本もない。最短距離はわずか十三・九キロだが、近さだけでは語れない事情が横たわっている。最大の壁は、急潮流と深い海峡だ。水深は約195メートル、場所によってはさらに深く、巨大な橋脚を安定して立てるのが難しい。加えて、この海域は船の往来が激しく、橋を架ければ航路や風の影響まで考えねばならない。さらに陸側も問題だ。大分・愛媛の高速道路まで長い連絡道路が必要で、総工費は1兆円規模に膨らむ。技術的には不可能ではない。だが、最も大きいのは「誰が作り、誰が負担するのか」という合意の壁だった。今もなお、四国と九州をつなぐ構想は、静かに次の一手を待っている。