「真ん中の文字、わかる?」——街頭で始まった小さなクイズに、通行人は一瞬足を止めた。 出題は「真ん中の文字を答えてください」。ヒントとして示されたのは「にぎり」。相手は「なんでもいいんだろう」と戸惑うが、すぐに「それではありません」と返される。「おにぎりの真ん中、海苔? いや、海苔じゃない」 「塩とかでもない。でも、かなりいい線まで来ています」 やり取りは次第に熱を帯び、答えを探る声に笑いが混じる。「調味料みたいなもの?」という推測にも首を振り、さらに「シャケみたいなこと?」と近づくが、それも違う。そして最後のヒントは、決定的だった。 「ひらがな一文字です」 「楽しい……すっ?」 「“す”ではありません」答えが目前に迫るなか、場の空気は一気に引き締まる。正解は、もうすぐ口にされる。