象やクジラのように巨大化できる生き物がいるのに、なぜ昆虫だけは人間サイズにならないのか――。その疑問の答えは、長く「酸素不足」とされてきました。三億年前には、翼を広げて七十センチのトンボや、二メートルを超えるムカデの仲間まで存在し、化石も見つかっています。しかし近年の研究では、昆虫の体にはまだ大きくなる余裕がありました。では、何が彼らを小さなままにしたのか。鍵は空と殻です。鳥が現れ、大型の虫ほど狙われやすくなったうえ、昆虫の外骨格は大きくなるほど重荷となり、脱皮後の弱い体を支えきれません。酸素、鳥、そして殻。三つの条件が重なり、昆虫は巨大化の道を閉ざされました。だが、その代わりに彼らは地球で最も繁栄する存在となったのです。