「また固まっちゃって」と呼ばれれば即座に駆けつけ、古い処理の癖を見抜いて復旧させる。だが経営はバックオフィス削減を掲げ、情報システムを外注へ切り替える決断を下す。安西らは「一人なら切り替えやすい」と軽く見ていたが、十七年分の運用は資料だけでは引き継げなかった。 やがて出荷当日にシステムが停止。外注先は古い構造を把握できず、復旧に数日かかると言い切る。現場は混乱し、会社は止まりかける。結局、野口が呼び戻され、即座に復旧。だが彼はもう、外された人間だった。 後日、責任追及の席で経営陣は初めて気づく。会社を支えていたのは、たった一人の守り人だったのだと。野口は正社員となり、情報システム責任者に任命される。17年の孤独な戦いは、ようやく報われた。