田中は、試験記録装置のログと食い違う日付を見つめた。 「言葉は残っていなくても、会社は記録で動いている」──その言葉だけが、重く響く。B社からコンベア停止の件で説明を求められ、森部長は「少し時間をくれ」と頭を下げたが、現場ではすでに偽装の匂いが濃くなっていた。検査課の佐藤は、主任の指示で日付を書き換えた事実を告白する。だが、記録を追うほど、四カ月前に田中が書いた報告書と、受理されていない不自然な空白が浮かび上がる。 やがて役員会で森の責任は断たれ、懲戒解雇が決定。顧客への報告、品質保証体制の再建、その責任者に選ばれたのは田中だった。 「事実しか報告しません」 その返答に、会社はようやく本当の記録を取り戻し始める。