昭和に消えた5つの風景9
2026/10/06
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昭和に消えた五つの風景――それは、今ではもう当たり前ではない日常の記憶だった。  指で押し出すゴム容器のアイスは、甘さがにゅるりと出るたびに手がべたつき、それでも子どもたちは夢中だった。駄菓子屋では百円を握りしめ、丸川のグレープかコーラかで真剣に悩み、さくらんぼ餅やベビースターを前に、小さな勝負を繰り広げた。黒電話が鳴れば、誰が出るかわからない緊張が走る。好きな相手にかけても親が出れば、急に敬語になる。銭湯では木札の下駄箱を抜け、湯上がりに瓶の牛乳を一気に飲むのが何よりの贅沢だった。年賀状もまた、住所録を見ながら手で宛名を書き、元旦の郵便受けを開ける瞬間を楽しみにした。

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