気づいた時には、もう取り返しがつかなかった。 法事の席では、誰もその場で顔色を変えない。だが、帰りの車内で静かに話題になり、私は長く忘れられない立場になった。三位は、読経の最中に鳴った電話だった。 私の上着のポケットから、突然演歌の着信音が響き渡る。お坊さんの声が一瞬だけ止まり、親戚の視線が一斉に集まった。あの沈黙は、今でも思い出すだけで背筋が冷える。二位は、引き出物の袋を覗いた親戚の一言だ。「今年は軽いね」と何気なく言ったその言葉を、家の人がしっかり聞いていた。場は静かでも、空気は確実に重くなっていた。そして一位は、またしても鳴ったことだ。 その電話は、その日には忘れられた。けれど何年も語られたのは、御前の席で見せた私の“形”だった。形見の話は後日、二人きりの時にすべきだったのだと、帰りの車で痛感した。