重い病を患ったひとりの男は、もう俳優としての道は続けられないと覚悟し、自作の曲をカセットテープに録音した。最初から自分で歌う気はなく、レコード会社には「誰かに歌わせてほしい」と持ち込んだという。だが、運命は予想外の方向へ転がった。結局、その曲を歌うことになったのは本人だった。それでも彼は、まさか売れるとは思っていなかった。ところが歌入れの日、編曲家・筒美京平が生み出した新しいシンセサイザーのイントロが流れた瞬間、空気が変わる。「これはミリオン行くね」――そんな言葉が現場でこぼれた。その予感は現実になった。曲はオリコンで10週連続首位を記録し、売り上げは100万枚を突破。1981年の年間1位に輝き、俳優を辞めるつもりで作られた一曲は、時代を代表する大ヒットへと変わった。