映画の主題歌を録音したはずの歌手が、完成直前に主演女優の歌へ差し替えられる。 その知らせは、すでに録音を終えていた側にとって、あまりに屈辱的だった。だが、この曲はそこで終わらなかった。 監督が「主演の薬師丸ひろ子に歌わせたい」と強く望み、歌手になる気のなかった彼女を説得して収録させた結果、薬師丸版が正式に発売されることになったのだ。映画で流れる主題歌は、ついに別の声へと置き換わった。これに対し、作詞を担当した松本隆の姉・キスに悦子は激しく反発し、レコード会社を移る寸前まで怒りをあらわにした。 しかし社長は「両方ともヒットさせる」と約束し、聞き過ぎた顔の「夢の途中」と、薬師丸ひろこの「セーラー服と機関銃」を11日違いで発売した。