退職金3000万円を使い込んだ夫。その夜、妻・三重子が「出て行け!」と怒鳴る声が響いた。定年退職後、昼間からソファでごろごろしている夫・田中正一の姿に、彼女の怒りは日に日に激しくなっていた。その矛先はついに、空っぽの通帳を見た瞬間に爆発する。「退職金はどこ?まさか女に…正直に話してよ!」と詰め寄られ、正一の胃は締め付けられるような思いだった。しかし、この日が来ることは覚悟していた。正一は黙って押し入れに向かい、埃をかぶった段ボール箱から封筒を取り出す。中には7年間にわたる領収書と振込明細書――そこから浮かび上がったのは、妻の母の入院費や弟の借金という家族の重い現実だった。それを一人で抱え、月々返済を続けていたのだ。