憧れの東京生活は、自由で輝かしい毎日そのものだった。親とは疎遠になり、連絡さえも億劫に感じている中、突然襲ってきたインフルエンザの高熱は、私を絶望の淵に追い込んだ。気温38度を超え、ついに39度まで達した体温は身体を動けなくし、食料も水も尽きた。「このまま孤独死するかもしれない」と、それが現実味を帯びた瞬間、朦朧とする意識の中で母にラインを送った。その数時間後、玄関のチャイム音が鳴り響き、私は最後の力を振り絞ってドアを開けた。そこには実家からの段ボールが置かれていた。箱を開けると、中にびっしり詰まったレトルト食品とスポーツドリンクが目に入った。一つひとつには、「早く元気になってね」とでも言うような温もりが込められているかのようだった。東京の夜の孤独を埋め尽くすような母の愛情が、箱いっぱいに溢れていた。熱が引いた翌日、私は何年ぶりかの実家への電話をかけた。涙で言葉が詰まりながらも、「ありがとう」と心の底から伝えた。その荷物には、ただの食料じゃない、「家に帰っておいで」というメッセージが込められていたことを、初めて知った。親からの愛情は、距離を超えて胸に響くものだった。