夫・高明は外では有能な会社員、だが家庭では冷酷な支配者だった。妻のゆかりに暴言を浴びせ、家事も育児もすべて押し付けながら、裏では上司の妻・アンナと不倫関係を続けていたのである。そんな二人が旅行中に交通事故を起こし、揃って半身不随に。病院に呼び出されたゆかりの前で、高明は信じ難い言葉を口にする。「俺たちの面倒を見てくれ」。さらにアンナまで便乗し、ゆかりを家政婦扱いする始末だった。怒りを押し殺していたゆかりは、冷ややかに言い放つ。「は?愛人に頼めば?」その瞬間、隣のベッドが運び込まれる。そこにいたのは――事故の被害者であり、アンナの夫でもある会社の部長だった。すべてを把握していた部長は、淡々と不倫と事故の責任を突きつける。高額な賠償請求、崩れ去る虚勢。さらに息子・和也までもが父の裏切りを知り、完全に見限る。積み重ねてきた嘘と傲慢の代償はあまりにも大きかった。ゆかりは静かに離婚届を差し出す。「もう終わりよ」。かつて彼女を見下していた男は、何もかもを失い、その場に取り残された。まさに因果応報の結末だった。