1992年春、長野県の山間にある小さな町から、二人の若者が東京へ旅立ちました。三上和也さんと拓哉さん、そっくりな顔立ちをした双子の兄弟です。幼い頃から成績優秀で、誰からも愛されてきた二人は、そろって名門・早稲田大学への合格を果たしました。町中が祝福し、両親も大きな喜びに包まれた春でした。しかし、希望に満ちたはずの大学入学式の日、運命は突然変わります。朝、黒いスーツに身を包んだ双子は、下宿の大家に「式の前に少し寄りたい場所がある」と告げ、笑顔で出かけていきました。それが、家族や町の人々が二人を見た最後の姿でした。夕方になっても帰らず、翌朝になっても部屋には二人の姿がありません。机の上には未使用の教科書、部屋には荷物がそのまま残されていました。まるで、出発した瞬間だけが切り取られたようでした。両親は東京へ駆けつけ、必死に息子たちを捜しました。しかし、駅にも大学にも二人の足取りは残っていませんでした。警察の捜査が始まっても、有力な手掛かりは見つかりません。