2022年春、横浜で暮らす田中理恵の日常は、突然崩れ去った。離婚から半年、6歳の娘・はるかとの平穏な生活だけを支えにしていた彼女。しかし、ある日の夕方、元夫・佐藤が迎えに行ったはずの娘が帰ってこなかった。車だけが海辺で発見され、佐藤は意識不明の状態で保護された。目を覚ました彼は「何も覚えていない」と語り、はるかの行方も不明のまま。警察の捜索は続いたが、決定的な手がかりは見つからず、世間の関心も次第に薄れていった。それでも理恵だけは諦めなかった。娘の部屋をそのまま残し、毎晩「今日も帰ってこないのね」と小さく語りかける日々を送っていた。そして事件から1年後、引っ越しを決意し部屋を整理していた時、理恵のスマートフォンに突然通知が届く。「AirTagが検出されました」。娘のリュックにつけていた小さなタグが、なぜか反応したのだ。表示された場所は、自宅の寝室。その距離はわずか数メートル。そして信号は、床下を示していた。