一つ目は「山のクジラ」と称されたイノシシ肉だ。仏教の禁忌を巧みにかわしつつ、冬の夜には脂が乗った鍋が冷えた体を温める貴重なスタミナ源となった。二つ目は「紅葉」と呼ばれるシカ肉である。両国周辺の専門店では、熟練の職人が見事な包丁さばきを披露し、現代のジビエブームを先取りするほどの超人気メニューとして愛された。そして最後は、最高級の禁断の味である牛肉だ。当時は厳格なご法度だったが、彦根藩だけは「養生薬」と称する味噌漬けの牛肉を献上し、エリート層の間で高値で裏取引されていた。あなたが一番「薬」として食べてみたい江戸の禁断肉は何ですか?