秋晴れの体育祭、全校生徒の前で借り物競争の紙を引いた高3の高瀬レイナは、迷いなく応援席の最後列へ走った。そこにいたのは、目立たない高2の佐伯直人。彼女は返事も待たず、その手首をつかみ、グラウンドへ引き出す。「自分にとってのヒーロー」――読み上げられた瞬間、場内は騒然となった。直人には理由がわからない。ただ、レイナだけが静かに「今は内緒」と告げる。数日後、直人は偶然、彼女の口から「小学校のときから知ってる子」という言葉を聞き、記憶をたどる。たどり着いたのは、小学三年生の体育館。背が高いことで笑われていた少女に、直人が何気なく放った一言だった。「俺は、かっこいいと思うけどな」。その言葉は、8年後のレイナを支えていた。