俺の名前は松井友樹、27歳。都内の商社で働いている。仕事は忙しいが、尊敬できる上司や仲間に恵まれ、毎日充実していた。ただ一つ、母から毎年のように言われることがある。「友樹、彼女はできたの?」誕生日が近づくたびに繰り返される母の心配。しかし俺には恋愛より仕事や読書の時間が大切で、いつか自然な出会いがあるだろうと思っていた。そんなある朝、いつもの地下鉄で不思議な女性と出会った。始発駅から乗る俺には、いつも座るお気に入りの席がある。眠い目をこすりながら座っていると、カツカツという音が聞こえた。顔を上げると、白杖を持った女性がこちらへ歩いてくる。そして迷うことなく、俺の隣の席に座った。最初は偶然だと思った。