戸田愛梨、39歳。彼女は10年間、夫・隆一と息子・渡るを支え続けてきた。血のつながりはなくても、本当の家族になれると信じ、幼い渡るの世話をし、勉強や生活面まで献身的に支えてきたのだった。しかし、渡るが成長するにつれ、態度は一変する。「本当の母親じゃないくせに」と愛梨を遠ざけ、夫の隆一もまた、そんな息子を注意するどころか同調するようになっていった。さらに隆一は浮気を続け、家庭への責任も果たさず、愛梨が密かに家計を支えていることにも気づかないまま彼女を見下していた。そして渡るのコロンビア大学進学の日。空港まで送り届けた愛梨が「頑張ってね」と声をかけると、渡るは冷たく言い放った。「他人のくせに母親気取りかよ」その言葉を聞いた瞬間、愛梨の中で何かが切れた。隆一も笑いながら「送迎係は外で待ってろ。ここからは親子の時間だ」と告げる。