さらば富士通――それは単なる株式関係の終わりではなく、四十年以上にわたる信頼と挑戦の歴史に区切りをつける瞬間でした。現在、スマートフォンやAIチップなど最先端半導体の品質を支える検査装置で、世界トップクラスのシェアを誇る企業がアドバンテストです。その原点は、1954年に武田行使氏が創業した武田理研工業にあります。しかし1975年、会社は深刻な経営危機に陥り、社員の給与支払いさえ困難になるほど追い込まれました。そんな中で救いの手を差し伸べたのが富士通でした。富士通は株式取得によって支援するだけでなく、製品購入などを通じて事業成長を後押ししました。子会社化という選択肢もあったにもかかわらず、富士通は武田理研の自主性を尊重し続けたのです。