携帯業界で、長年利用してきた顧客よりも新規契約者を優遇する販売競争の歪みが、改めて注目されている。各携帯キャリアはMNPによる乗り換え利用者に高額なポイント還元や端末割引を続けてきたが、その結果、特典だけを目的に短期間で会社を渡り歩く「ホッピング」が広がる状況となった。しかし、この問題の背景には、利用者だけではなく、キャリア自身が作り出した競争環境がある。新規客には数万円相当の特典を用意する一方で、十年以上料金を払い続ける既存客への還元は少ない。「乗り換えれば得、使い続ければ損」という状態では、利用者がMNPを繰り返すのも当然と言える。本来求められるのは、顧客を縛る仕組みではなく、長く使いたいと思わせるサービスへの転換だ。半年、一年、三年と継続した利用期間に応じて料金割引やデータ容量、端末購入時の特典を提供すれば、顧客との信頼関係も深まるだろう。