平成十年秋、埼玉県飯能市の天覧山で松本美穂さん(24歳)が散歩に出かけたまま帰らなかった。家族も警察も手がかりを得られず、事件は未解決のまま七年が過ぎた。平成十七年、登山道整備の工事中、湧き水地すぐ上の斜面で遺骨が発見された。発見をきっかけに再捜査が行われ、兄の健一さんが当時、美穂さんと口論の後、偶発的に斜面から転落させたことを自白。恐怖から遺体を隠し、七年間沈黙していた事実が明らかになった。法廷で懲役十二年の判決が下され、長い沈黙の末に、真実がやっと浮かび上がった。失われた時間と家族の悲しみは、誰にも取り戻せないまま終わった。