美鈴の絶望は、夫・健太の不倫から始まった。ワンオペ育児と裏切りに心が悲鳴を上げる中、追い打ちをかけるように最愛の母が急逝。「誰にも頼れない」という極限状態が彼女をうつ病へと追い込んだ。最低限の世話しかできず、テレビに育児を任せる日々。一歳児検診で指摘された朝日の言葉の遅れに、美鈴は激しい罪悪感を抱く。そんなある日、感情をぶつけてしまった息子から返ってきたのは、あまりにも残酷な「消えろ」という言葉だった。「お母さんが本当にこの世から消えたら、朝日はどうするの?」震える声で問いかけたその瞬間、崩れ落ちるように涙が溢れた。不倫、孤独、病。どん底の中で息子が発した一言は、美鈴にとって自らの無力さを突きつける刃であると同時に、壊れた家族を直視させる最後の警告でもあった。母として、一人の女性として、彼女が再び光を見出す日は来るのだろうか。