「早い者勝ちだ。アジア人がなぜこんな良い席に座れるんだ?」機内で傲慢にふんぞり返る白人男性。彼に指定席「14A」を理不尽に奪われたのは、四十代の日本人女性自衛官・葵(あおい)二等陸佐だった。周囲の乗客や客室乗務員までもが声の大きい男に同調し、葵を「和を乱す厄介者」と断罪。さらに男は、葵の亡き父の形見である大切なお守りを床に蹴り飛ばし、土足で踏みにじろうとした。どんな理不尽にも感情を殺すよう訓練されてきた葵だったが、父の誇りを汚された瞬間、その瞳に静かな覚悟の光が宿る。彼女は涙を拭い、懐から政府の紋章が刻印された特殊なIDカードを抜き取ると、チーフパーサーへ冷徹に突きつけた。「機長へお渡しください。緊急事態です」そこに記された彼女の真の所属と、国家の未来を左右する極秘任務のコード。カードを見たチーフパーサーは顔面蒼白となり、コックピットへ失踪。わずか10分後、事態を把握した機長が血相を変えて通路へ飛び出してきた。