寺田登る、67歳。東京で42年間会社員として働き続け、退職後も「いつか旅行へ行こう」と思いながら二年が過ぎていた。そんな彼を動かしたのは、昔の同僚からの「元気なうちに行かないと、行けなくなるかもしれませんよ」という一言だった。初めての一人旅で新幹線に乗った寺田は、偶然隣り合わせた高橋という男性と出会う。全国の神社を十年以上巡っている高橋は、定年後にこそ訪れてほしい格式ある神社を五つ紹介する。第五位は大分県の宇佐神宮。全国約四万社の八幡宮の総本宮であり、国宝の本殿や独特の「二礼四拍手一礼」の参拝作法が魅力だという。続く第四位は愛知県の熱田神宮。草薙神剣を祀る歴史ある神社で、寺田は現役時代に訪れたものの、仕事を気にして本当の魅力を見逃していたことに気づく。第三位の京都・伏見稲荷大社では、千本鳥居に込められた人々の願いや感謝の意味を知り、第二位の島根県・出雲大社では、縁結びとは新しい出会いだけでなく、これまで支えてくれた人との縁を振り返る場所だと教えられる。そして第一位に選ばれたのは、三重県の伊勢神宮だった。約二千年の歴史を持ち、古くから「一生に一度は参拝したい」と憧れられてきた神聖な場所である。