山下剛、65歳。元公務員の彼は、40年間ひたすら節約を続け、退職時には8000万円もの貯金を築き上げていた。「金さえあれば老後は安泰だ」と信じ、年金の受給開始も75歳まで遅らせ、さらに資産を増やす完璧な計画を立てていた。しかし、その強すぎる金への執着は、少しずつ彼の大切なものを奪っていった。息子の結婚式への援助を拒み、妻から「あなたはお金と結婚しているようなもの」と告げられ、家族との絆を失ってしまう。それでも山下は「金だけは自分を裏切らない」と信じ続けた。70歳になった彼は、4200万円の貯金を守るため、極限まで切り詰めた生活を送っていた。冷房も使わず、数円の出費すら惜しむ毎日。しかし、猛暑の日に熱中症で倒れた時、彼を助けたのは大切に守ってきたお金ではなく、偶然気づいてくれた人の優しさだった。