山本浩司、63歳。大学卒業後から41年間、ひとつの会社で営業一筋に働き続け、課長として部下を率いてきた男だった。残業や休日出勤も惜しまず、「会社に尽くせば、定年後は安心した生活が待っている」と信じて疑わなかった。しかし、60歳を過ぎた現実は想像とは違っていた。定年後も週5日勤務を続ける一方で、給料は大幅に減少。年金だけでは生活費を補えず、食事の数百円さえ気にする毎日だった。「41年間、会社のために働いてきたのに、なぜ老後まで不安を抱えているのか」そんな疑問を抱える中、山本はある大きな勘違いに気づく。会社を信じることと、人生そのものを会社に預けることは同じではないのだ。