夫・斎藤徳雄の葬儀が終わった直後、68歳の斎藤静子を待っていたのは、悲しみではなく、息子夫婦による冷酷な裏切りだった。四十年間、夫と苦労して守り続けた我が家。その温かな思い出が詰まった家を、嫁の咲は一枚の不動産売買契約書とともに「売却することに決めました」と告げた。息子の実も母の目を見ることなく、「もう決まったことなんだ」とうつむくだけだった。借金返済のためだと言われ、静子は家を奪われ、月3万円の古びたアパートへ追いやられる。愛する夫を失ったばかりの彼女に、家族までもが背を向けた瞬間だった。しかし、絶望の中で静子のもとに現れたのは、夫の旧友で弁護士の長谷川翔平だった。徳雄が生前に託した封筒の中には、「いつも見ていた写真アルバムを」という謎めいたメッセージが残されていた。