23年間連れ添った妻・ともみに対し、幸弘は突然離婚を宣言した。理由は、20歳の浮気相手が待望の男児を出産したからだった。「女の子しか産めなかったお前とは別れる」と身勝手な言葉を並べ、新しい家族との未来を語る幸弘。しかし、ともみは感情的になることなく、不貞行為への慰謝料や未成年の娘の養育費について淡々と告げた。さらに幸弘が「娘たちは置いて行け」と要求すると、ともみは静かに真実を明かす。成人した長女はすでに一人暮らしを開始し、次女も進学準備のため別の生活環境を整えていたのだ。つまり、幸弘が期待していた“妻が子どもを連れて出て行く未来”は、すでに存在していなかった。その後、幸弘は新生活のため実家まで売却し、慰謝料と養育費を支払ったものの、住んでいた家が自分の所有物ではなく、ともみの叔父が管理する賃貸物件だったことを知る。契約終了を告げられ、さらに仕事も失い、浮気相手にも見放されるという結末を迎える。「息子さえいれば幸せになれる」と信じた幸弘。しかし、長年支えてくれた家族を失った後に残ったのは、取り返せない後悔だけだった。