ヤンキースタジアムで行われた一戦で、ドジャースの山本由伸投手が圧巻の投球を披露した。初回から三者凡退を奪い、三回まで走者を一人も許さない完全支配。最終的には9回を投げ切り、メジャー移籍後初の完投勝利を達成した。試合後、チームメートから祝福を受ける中、大谷翔平選手が山本の頭を優しく撫でる姿も話題となった。しかし、この快投の裏側で改めて脚光を浴びた人物がいる。それが山本が長年「先生」と慕う柔道整復師・矢田聖氏だ。二人の出会いは山本がプロ1年目の頃。当時、右肘の不安を抱えていた若き投手に、矢田氏は「今の投げ方の延長線では目標には届かない。フルモデルチェンジが必要だ」と伝えた。山本は迷うことなく「じゃあ、そうします」と答え、その日から身体の使い方を根本から変えていった。矢田氏が重視するのは、筋力だけに頼らず、正しく立つ、歩く、呼吸する、そして全身を連動させること。独自のBCエクササイズによって作り上げた身体は、山本の強さと耐久性の土台となった。その効果に注目したのがムーキー・ベッツやエメット・シーハンだ。ベッツは矢田氏のトレーニングを取り入れ、送球面で大きな変化を見せた。さらにシーハンも山本の紹介で指導を受け始め、投球内容に改善の兆しを見せている。山本由伸の完投劇は、単なる勝利ではない。10年以上積み重ねてきた矢田氏との歩みが、メジャーの舞台で証明された瞬間だった。今や“矢田先生”の理論は、ドジャース内だけでなく、多くの選手から注目を集める存在になっている。