玉美さんは、京都の花街で人気を集めた舞妓だった。二十九歳でその世界を離れ、千葉真一さんと共にアメリカへ渡る。英語もわからず、頼れる人も少ない土地で、幼い真剣佑さんと郷敦さんをほとんど一人で育て続けた。華やかな披露宴の裏では、すでに夫婦関係は崩れ始めていた。やがて離婚し、京都へ戻った玉美さんは、時給千円の仕事で生活を支える。それでも表舞台に出ることはなかった。千葉さんが亡くなった時、彼女は静かに斎場へ現れ、息子のそばで遺骨を拾った。顔を出さず、語りすぎず、ただ母として、元妻として、なすべきことだけを選び続けた女性だった。