定時直前のデスクで時計を見つめるのが、山本周平の日課だった。日用品メーカーのシステム部で、残業もしない。だがその日、同僚の藤崎真奈に呼び止められる。「子供の食事を用意しないと……」「えっ、あんた結婚してるの!」真奈は勝手に固まり、周囲に妙な誤解が広がった。周平が説明を避けたことで、噂は一人歩きしていく。後日、スーパーで大量の食材を買い込む周平の姿を真奈が尾行する。だが辿り着いた先は、母が切り盛りする子ども食堂だった。そこには十数人の子供たちが笑い、周平が包丁を握っていた。「隠し子疑惑」は一気に崩れ、真奈は気まずそうに皿洗いを手伝う。やがて彼女は食堂の事情を知り、会社の支援まで動かし始める。