牧野富太郎の植物学の研究を支えた2人の妻、山本直と小沢末の生涯について紹介します。直は富太郎のいとこであり、彼が東京で研究に専念する間、実家の酒屋の経営を支え続けました。富太郎への仕送りが原因で経営が傾いても、直は文句を言わずにサポートを続けました。一方、東京で富太郎と結婚した末は、彼の重い借金問題に向き合いながら、13人の子どもを育てつつも富太郎の研究を最優先に支え続けました。 末は自身で貸家業を始めたり、待合茶屋を経営するなどして家計を支えましたが、家庭のために再び廃業します。その後は関東大震災を機に、郊外への転居を提案し、家と植物標本館の建設を実現しました。末は最終的にがんで亡くなりますが、彼女の尽力によって築かれた富太郎の研究環境は後世に続いていきます。牧野富太郎の植物学研究は、2人の妻の献身なしには成し得なかったと言われています。