小木保さんが静かに暮らしていた自宅に、ある日突然、息子夫婦が訪ねてきた。「少し話があるんです」と切り出した嫁は、娘のおりこが市内の名門校に合格したことを告げた。そして、そのサポートのために自分の実家の家族全員がこちらへ移り住むことになったという。しかし次の言葉に、小木さんは耳を疑った。「この辺りは家賃が高いので、お義母さんにはこの家を空けてもらえませんか」。つまり、自分を追い出して、嫁の実家の家族を住ませようというのだ。さらに嫁は「地下駐車場なら広いですし、一人なら十分ですよ。それが嫌なら田舎へ引っ越してください」と冷たく言い放った。息子も「母さんが一人で大きな家に住むのは無駄だ。老人ホームを探しておいた」と妻に同調する始末だった。二人に裏切られたと感じた小木さんは、翌日すぐに行動を起こした。長年付き合いのある不動産会社へ連絡し、なんと家を売却する決断をしたのだ。24時間後、荷物をまとめて出ていこうとしていた小木さんの前に、息子夫婦が現れた。「本当に家を売ったんですか?」と慌てる二人。しかし小木さんは冷静に答えた。「売ったよ。明日には新しい持ち主が来る。これからはあなたたちで好きにすればいい」自分の家を奪われそうになった母親が選んだ、毅然とした決断。その結果、息子夫婦は初めて自分たちの身勝手さに気づくことになった。