娘夫婦が新婚旅行を終え、我が家へ帰国の挨拶に訪れた日のことでした。玄関に入った瞬間、婿は部屋の中を何度も見回し、「お義父さん、お義母さん、本当に素晴らしいマンションですね。場所も最高で羨ましいです」と感心したように話していました。しかし、食事の最中も彼は窓の外を眺めながら、何かを考えるような表情を浮かべていました。そして食事が終わる頃、娘と目を合わせた後、突然信じられない提案を口にしたのです。「お二人とも、もう年齢的にこの広い家の管理は大変ですよね。だから、僕たちのアパートとこの家を交換しませんか」その瞬間、夫の表情が変わりました。娘も気まずそうに視線をそらし、二人で事前に相談していたことが伝わってきました。夫は静かにグラスを置き、「君たちの住んでいるアパートと、この家の価値がどれほど違うか分かっているのか」と冷静に問いかけました。婿は「そういう意味ではなく、もっと効率的に考えようということです」と返しましたが、夫の怒りは抑えきれませんでした。「私たちは二十五年間、必死に働いてこの家を手に入れたんだ。退職したからといって、なぜ君たちのために家を手放して引っ越さなければならない」その言葉に、婿は何も言えなくなりました。娘と二人、逃げるように帰っていったのです。その夜、夫は悔しさで眠れませんでした。結婚したばかりの二人が、親の財産を当然のように求める姿に、家族への思いやりとは何かを改めて考えさせられる出来事となりました。