私は田村一輝、40歳の高校教師として20年の経験を持つ。この年月、数々の生徒と出会い、彼らが大人になって訪ねてくることが私の喜びだ。しかし、夫としては失敗だった。前の妻、真子とは高校時代からの交際があり、教師になって1年目に結婚した。しかし、家庭のことは考えずに仕事に没頭した結果、浮気されて離婚。娘の直は真子と暮らすことになり、私は教育者としての道を歩むが、父親としての悔いが残った。春、新しい生徒が入学し、その中に「山本菜央」との名が。動揺しながらも一教師として接し続ける中、陸上部に入部する彼女を通じて娘であることが確信した。そして卒業式、真子が現れ、私が父親であると菜央に伝えた。再婚には至らなかったが、この瞬間から私たちは家族としての絆を再び築いていった。教師として過ごした時間は取り戻せないが、これからは家族として精一杯生きる決意を新たにした。