高倉健が撮影の合間を縫って、憧れの俳優、三船敏郎との対談に臨むことになった。ある日、彼は映画のセットから急ぎ足で駆けつけ、ドアを開けて謝罪の言葉を口にしようとした瞬間だった。三船さんは彼を待ちながらも嫌な顔ひとつせず、ゆっくりと椅子から立ち上がった。そして、「三船俊夫と申します」と深々と頭を下げた。この思いがけない紳士的な振る舞いに、高倉健はすっかり心を奪われたのだ。この出来事は高倉の心に深く刻まれ、彼もまた共演者やスタッフに対し、いつも丁寧な挨拶を欠かさない俳優として知られるようになった。三船敏郎の影響は、彼の心の中でいつまでも続いていた。