貴史は浩が旅立った後に、野村から預かったあんぱんを受け取り、亡き父との思い出に胸を痛める。公園で涙を流しながらあんぱんをかじり、自分の卒業制作に専念したことへの後悔と父への感謝の気持ちを抱く。ノブとの会話の中で、自分の未完の想いと今後の決意を新たにし、東京に戻る準備をする。しかし、心の奥底で芽生えた感情を言葉にすることはできず、父との別れの寂しさと新たな一歩を踏み出す決意のはざまで揺れる。物語は昭和十四年十二月の時代背景を舞台に、女性の生き方や結婚、仕事の両立という普遍的なテーマを描き、ノブの成長と選択を通じて現代にも通じるメッセージを投げかけている。