太平洋戦争の開戦が背景となり、戦争の影響が一人ひとりの生活にどのように及んでいくのかが描かれています。ノブは授業が終わった教室で、兄が出征したことを話し始めたのり子を心配し、彼女を力づけようとします。戦場に向かう兄を持つ恐れと不安が教室中に広がります。ノブ自身も心の内に悩みを抱えながら、愛国心を奮い立たせるよう努めています。 一方で、東京にいる隆は、友人や自分に次々と赤紙が届くという現実に直面します。友人との別れや母親との対話を通じて、個人の感情が戦争という大きな力の前でどれほどもろいものであるかが浮き彫りになります。戦争という巨大な現実が、人々の日常を静かにしかし確実に変えていく様子が、感情豊かに描かれています。