1960年、宮城県で起きた「仙台幼児誘拐○人事件」。その犯人は、元俳優・天藤三七郎(29)であった。かつては新東宝の専属俳優として映画に出演した経歴を持つ天藤は、膨れ上がった借金を解消するため、5歳の男児を誘拐。身代金を要求した直後に逮捕されたが、その時点で既に幼い犠牲者の命を奪っていた。事件は、元芸能人による残忍な犯行として社会に強い衝撃を与えた。第一審では無期懲役の判決が下るも、検察の控訴により、1966年の第二審で死刑が言い渡される。そして1970年7月、死刑が執行された。俳優としての過去を持つ人物が死刑に処された、日本において極めて稀なケースである。この事件は、誘拐罪に対する刑罰の厳罰化にも影響を与えたと言われる。華やかな世界の裏側に潜む闇、そして芸能人の経歴と重大犯罪が交差する、戦後史に残る衝撃的な事件であった。