「妹夫婦に家を譲る。断るなら離婚だ」夫・達也の突然の宣言に、私は耳を疑った。きっかけは、妹の千佳が妊娠したことだった。達也は私たちが大切に使っていた高価なベビーカーを、相談もなく妹夫婦へ渡していたのだ。「まだ次の子どものために使うつもりだったのに」そう訴えても、達也は聞く耳を持たなかった。母が奮発して買ってくれた思い出の品で、約二十万円もする大切なものだった。それでも達也は「妹が困っているから仕方ない」と言い張った。さらに信じられない言葉が続く。「ベビーカーだけじゃない。この家も妹夫婦に渡すことにした。嫌なら離婚だ」あまりにも身勝手な発言に、私はついに限界を迎えた。「この家、私名義だけど?」達也は顔色を変えた。自分の家だと思い込んでいた建物も土地も、実際には私の名義だったからだ。