浅田さん、78歳。年金は月7万円。娘咲子と1年間同居を経験した彼女が、再び一人暮らしに戻る決心をした理由があります。最初、夫の死後に訪れた孤独を癒やすため、娘の家族と一緒に暮らすことはいいアイデアだと感じました。しかし、日々生活する中で、娘夫婦の価値観とのずれや、無言のうちに漂う微妙な緊張感を浅田さんは感じ始めます。同居当初は、孫の世話を手伝い、家事を任されることで娘を助けようと奮闘するも、やがてその関係が負担になることに気づきました。ある日、娘の夫、健太郎との会話で彼の本心が透けて見える瞬間がありました。「両親も呼びたい」という言葉に、居場所がないことを感じたのです。東京を去ると決心した浅田さん。戻った自宅は寒く静かでしたが、それでも自分の空間として迎え入れてくれました。彼女は人生の中で初めて、自分の生活を大切にすることを選んだのです。これは、彼女自身のためだけでなく、娘との健全な距離を保ち、愛する人々のためにもなる決断でした。