たとえば千葉県の房総半島。港町は多いけれど、人口が集中しているのは館山や鴨川のような平坦な部分。なぜなら、都市は広い平地がある場所に成り立ちやすいからです。農地を拡大しやすい平野では、昔から農業を基盤に人が増え、それが町づくりや商業発展に繋がっていきます。一方で、半島の先や山間部では地形的制約で増える余地が少なく、人々が平地へ流れ出してしまいます。さらに、湾が発展する理由には「広い平地」「交通のハブ」「深い港での交易」などがあります。日本の三大都市圏、東京湾、大阪湾、名古屋湾はどれもその典型です。逆に若狭湾のような深い湾では、平地が狭いため都市が形成されにくいのです。結論として、地形は都市や人口の動向を大きく左右します。「広い平地」と「交通の要衝」の条件を満たす湾が栄える一方、半島や川上流などの「行き止まり地形」は人口維持が難しい。このシンプルな地理の法則が、私たちの住む町の形を形作っているのです。