退職後、南川敏夫は1500万円の退職金を手にした。彼は、その金額で老後は安泰だと胸を張っていた。妻・稽古がパートを続け、息子・直樹の学費の心配もない生活。すべてが順調に見えた。しかし、自由な時間を手に入れた南川は、何をすべきか分からず、家でテレビやインターネットを観る日々が続いた。そして徐々に、貯金は予想以上に減少していった。ある日、突然のキッチンリフォームや家電の故障など、予期せぬ出費が南川家を襲った。このままなら大丈夫だと思っていたが、現実は甘くない。さらに、彼自身が体調を崩し、うつ病と診断される。妻の稽古は彼を支え続けたが、彼女も負担を感じ始める。貯金はどんどん底を尽き、ついに南川家は家を手放す決断を迫られる。結局、楽観的な老後設計が彼を打ちのめし、老後破産という悲しい現実に直面することになった。