かつてピッチ上で輝きを放ち、日本を代表するサッカー天才として世界中を驚かせた中田英寿。しかし現在の彼の生活は、誰もが思い描く「サッカー界のスター」のイメージを大きく超越し、意外な転身を遂げていた。2006年、わずか29歳という若さでドイツワールドカップを最後に現役引退を発表した中田。その決断に日本中が驚いた。日本代表の司令塔として、また世界の舞台で中田の名を知らしめた天才は、サッカー界から突如として姿を消したのだ。だが、中田が選んだ次の舞台は、サッカーではなく「日本文化」だった。全国を旅する中で、日本酒や農業、工芸などを深く学び始めた中田は、とりわけ日本酒への情熱を燃やすようになる。2009年以降、全国47都道府県を巡り、酒蔵や生産者を訪問。その経験を経て2015年には、日本酒や食文化を世界へ広める会社を設立するまでに至った。現在では、“日本酒アンバサダー”として、選りすぐりの酒を集めた大規模イベントをプロデュース。その集客数はこれまでに延べ125万人を超えるという実績を誇る。かつて世界の舞台で戦った天才サッカー選手は、今や日本文化の伝道者として新たなフィールドで自身の才能を発揮していた。