定年後、ひっそりと田舎町へ引っ越してきた六十二歳の私。この町では毎年夏祭りの時期、各家庭から二万円の協力金を徴収していました。この小さな町の世帯数を考えると、毎年合計で二百万円もの大金が集まっている計算です。しかし、祭りは寂しいもの。屋台は数えるほどしかなく、どこにそんなお金が使われているのか、私には全く理解できませんでした。不審に思った私は、三十年もの間祭りの会計を仕切ってきた町内会長の野村さんに尋ねてみると、「新参者が伝統に口を挟むな」と門前払い。しかし、その晩、町内役員の高橋さんが驚くべき資料を持ってひっそりと私の元を訪ねてきました。「実は、以前のデータをこっそりコピーしておいた」と、高橋さんが差し出した帳簿を見て驚愕しました。毎年支払われている大金が、野村さんの親族が経営する企業への発注として処理されており、しかも相場の倍近い金額だったのです。翌週の町内会で、この疑惑を追及すると、野村さんは声を荒げて反論。しかし、高橋さんが帳簿のコピーを突きつけた瞬間、その背後に隠された金の流れが明らかに。後日の調査により、数千万円もの不正流用が発覚し、野村さんはすべての役職を解任。街の人々にも完全に見放される結果となりました。