私は田舎で一人暮らしをしている、65歳の年金生活者です。この20年間、ずっと困っていたのが、隣の佐藤さんの柿の木です。大きく成長した枝は境界線を越え、葉っぱが私の庭に降り積もり、雨戸を詰まらせ、家庭菜園の日当たりまで奪っていました。掃除はいつも私の仕事でしたが、何度頼んでも佐藤さんは「自然に伸びるもんだろう。気になるならそっちで掃除しろ」と取り合ってくれませんでした。 去年、大雪の重みでその柿の木の太い枝が折れ、私の愛車の屋根に直撃しました。修理代は18万円。その時、さすがに佐藤さんに掛け合いましたが、「うちの木が勝手に折れただけだ。知らん」と一蹴されました。困り果てた私は市役所の法律相談に駆け込みました。すると、先生が「民法が改正されました。境界を越えた枝は相手が切らなければ、こちらで切る権利があります」と教えてくれました。 内容証明で通知を送り、期限が過ぎても返事がないため、業者に依頼して堂々と枝を切り落としました。その数日後、佐藤さんが怒鳴り込んできましたが、法律書面と通知の控えを見せると黙って退散しました。20年ぶりに私の庭にまっすぐ光が差し込んでいます。我慢よりも、自分の権利を正しく知ることが大切だと痛感した出来事でした。