皇太子時代の天皇陛下は、アジア三カ国の歴訪に出られました。その中でも、カンボジアの訪問は特別な意味を持っていました。歓迎の声も装飾もない静かな場所、そこに陛下が直行されたのです。その地に立っていたのは、亡き日本人2人の名前が刻まれた石碑でした。一人は高田晴之さん、もう一人は中田篤人さん。高田さんは不安定な情勢下のカンボジアで、子どもたちが安心して眠れる国を作ろうとした最中、命を落としました。中田さんは自由選挙の実現を目指し、その若い命を奉げ、無念にも武装勢力に倒れました。どしゃ降りの中、静かに佇むその姿が印象的だった天皇陛下。「犠牲を無駄にせず、平和を願い続ける心を忘れない」との言葉は、現地の人々と日本人の胸に響きました。ただの訪問ではない、その場で表現されたのは、目に見えぬ友情と未来への祈りだったのです。