原爆ドームを前に、愛子さまは静かに立ち尽くした。その瞬間に胸へ刻まれた平和への思いは、後に一つの作文として形になり、多くの人の心を動かすことになった。その作文は、愛子さまが中学時代の修学旅行で広島を訪れ、原爆ドームや平和記念資料館を見学した際に書かれたものだった。戦争の悲惨さを伝える展示を前に、愛子さまは深い衝撃を受け、「足が動かなくなるほどの思いだった」と振り返っている。そして、平和とは誰かに任せるものではなく、一人ひとりが責任を持ち、思いやりの心で築いていくものだという強い考えを文章に込めた。核兵器のない世界の実現と、広島の平和の灯が永遠に守られることへの願いが綴られていた。2020年8月、天皇皇后両陛下と面会した国連事務次長の中満泉さんに、雅子さまはその作文を託した。雅子さまが込めた思いの全ては明かされていないが、被爆者や平和への深い関心を持つ皇族として、未来へ平和の大切さを伝えたいという願いがあったのかもしれない。