テレビに映りたい――その軽率な願いが、最悪の結末を招いた。 レースが最高潮に達した瞬間、彼女はコース脇に立ち、祖父母へのメッセージを書いた巨大なボードを掲げた。最初はただの観客だったはずが、中継カメラに映ろうとするうち、彼女は少しずつコース内へ踏み込んでいく。そこへ、高速で迫る大集団。先頭の選手がボードに激突した次の瞬間、後続は逃げ場を失い、次々と転倒した。現場は一気に阿鼻叫喚となり、多くの選手が負傷、レースは続行不能に。数千万円級の自転車も多数破損し、被害総額は数百万ドルに膨れ上がった。だが、批判を最も集めたのは事故後の彼女の行動だった。救護に走ることもなく、その場を立ち去ったのである。皮肉にも、彼女が映りたがっていたテレビカメラは、その一部始終を克明に記録していた。映像を手がかりに、警察は彼女を特定。たった数秒の注目が生んだ代償は、あまりに大きかった。